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韓国行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩 を読んで

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    韓国行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩  講談社現代新書  金 敬哲

    他国の状況を知ることは自国の将来や選択肢について考える良い手助けになる。なぜな
    ら自国の未来を現実の姿として見ることが出来るかもしれないからだ。

    本書には韓国の厳しい競争社会が描かれている。日本を遥かに超える受験戦争、就職戦
    争、企業内での生存競争、高騰する教育費や両親への仕送りのダブル負担、生活費を稼
    ぐために仕事を辞めることの出来ない高齢者、と悲惨な競争社会が克明に記されている。

     

    日本と韓国はよく似た社会を構成している。韓国の社会に対し違和感を持つ日本人も多
    いであろうが欧米の社会に比べて、遥かに類似した社会であることは間違いない。日韓
    の差など同じだと思うと、その差異が気になってしまうというレベルに過ぎない。

     

    厳しい韓国社会の描写を見るに、パラレルワールドの日本、または将来の日本の姿のよ
    うに見えてくる。このような競争社会になったキッカケは1997年のIMF危機からであ
    る。韓国は日本に比べてバッファーがない経済である。それ故、経済の変動が社会に激
    しく影響を与える。競争社会の中にいる韓国人の苦悩を見ると、現在の日本の社会が、
    よほど楽に思えてくる。

     

    ただ本書を単に「日本は韓国ほど厳しくなくて良かったな」というガス抜きにだけ使う
    のは勿体ない。現在の文在寅政権を、日本の鏡としてどう捉えるのかという見方が出来
    る。多くの日本人は文政権がポピュリズムから「反日政策」を行っているという見方を
    するであろうが、それは表面的なものともいえる。

     

    文政権は朴槿恵大統領への反対運動「ろうそく革命」から誕生した革命政権である。文
    政権も、その自覚を持って政権運営を行っている。

     

    「ろうそく革命」とは何か。朴槿恵大統領への不正を糾弾するため韓国の市民が大規模
    に集結したデモを指す。朴大統領の退陣が決まるまで何度も何度も韓国全土でデモが行
    われた。これは韓国の一般大衆が既得権益を持つ上級階層に対して行った示威運動であ
    る。

     

    そして革命政権である文政権では過去の政策の見直しが急ピッチで進んでいるのである。
    これを「積弊(積もった弊害)清算」と言って政府内の全省庁にタスクフォースが設置
    され、大規模な見直し作業が行われているのである。

     

    その見直し政策の中に、それまで日韓で合意をしてきた政策も含まれている。両国の合
    意形成に不透明な部分があるとして、見直しがなされているのだが、本稿では、これ以
    上の論考を行わない。

     

    最も大事なのは経済政策。トリクルダウンを目指した富裕層、大企業優先の政策から経
    済弱者への分配を高める方向へ舵を切っている。

     

    トリクルダウンとは富裕層や大企業に優先的に利益を配分することにより、経済の効率
    的に運営し、成長率を高め、その状況の中で他の階層に徐々に利益が滴り落ちていくと
    いうことを目指した経済政策である。日本のアベノミクスも同様の考え方によっている。

     

    これを止めて低所得者層に利益を配分する政策を文政権は目指している。例えば公共部
    門の非正規雇用を正規雇用への転換、公務員の増員、最低賃金の引き上げ、週の労働時
    間の制限、等々。低所得者層には嬉しい政策が文政権では実現されている。

     

    これらの政策は、もし日本で安倍政権が倒れ、野党政権が出来るのであれば、当然、行
    うであろう政策である。そして、これらの政策が上手くいっているのであれば、良いの
    だが、むしろ経済的にはマイナスの働きをしているのである。

     

    財閥への利益配分を減らす政策の影響からか、生産手段を国外に移す動きが起こってき
    ている。また、低所得者層を支援する最低賃金引き上げや週の労働時間制限からも自営
    業者の廃業や韓国企業の海外脱出が起きている。その結果、経済は落ち込み、各階層の
    負担が益々大きくなってきている。

     

    これは未来の日本の姿かもしれない。世の中が上手くいっているときは誰も社会を劇的
    に改革したいとは思わない。改革の機運が盛り上がり、遂に社会が改革に舵を切るとき
    には相当、切羽詰まった状況になっている。その状況下で改革を行うことは、既得権受
    益者と、それを奪おうとする者の間で大きな対立が起きる。

     

    その対立を超えねば、新しい仕組みは出来ないのであろう。韓国が教えてくれることは
    多々あるが、その一つは、あまり多くを期待をするなということであろう。

     

    近い将来、日本も今までの枠組みを変えねば立ち行かないところまで行ってしまうであ
    ろう。その時には今まで日本を支えてきたバッファーは消滅している。そこで提示され
    る新しい未来に、あまり期待してはいけない。負担は変わらない、もしくは悪くなるか
    もしれない。

     

    政治家達は夢のような話を語るかもしれない。しかし、そんな上手い話はない。

     

    今までの構造を変えるには一世代程度の時間は必要になる。その時間を無くすには今あ
    る社会を崩壊させるしかない。その崩壊で構造は変化するかもしれないが、そこで生ま
    れた社会は過去のものより良いものである保障などないのである。むしろ、もっとひど
    くなる可能性もある。

     

    日本が選ぶ道はどちらであろうか。崩壊からの再生か、時間をかけながらの移行か。

    我らに残されているオプションは多くはない。

     

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