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「水源」を読んで

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    水源  アインランド  ビジネス社

    「非常事態宣言」の中、普段では読めないような長編を読もうと本書を選んだ。
    日本語訳で1000ページを超える。

     

    本書は1940年代後半から60年代にかけて、米国で熱狂的に受け入れられた。

     

    当時の時代背景は第二次大戦後、超大国として自信を深め、世界の覇権国へと昇って

    いく絶好調の米国である。

     

    作者はアインランド、日本では、あまり知られていないが、当時の米国では圧倒的な

    人気を博した。本書「水源」と同作家の「肩をすくめるアトラス」は、米国大手出版

    社の「20世紀の小説ベスト100」の1位と2位になったこともある。

     

    アインランドは1905年ロシア生まれの裕福なユダヤ人。1917年のロシア革命後、一

    家は没落、困窮の中、1925年に米国に移住。苦労の末、映画の脚本等を手掛ける。
    本書も1943年、出版、すぐ絶版。徐々に人気が広がり米国の国民的作家となる。

     

    この経歴を見て分かるように、共産主義、全体主義に対して批判的な主張を持つ。そ

    の部分が米国国民に受けたのは間違いない。だが、それを超える「米国人の魂の根幹

    を揺さぶる自由への渇望と個人への信頼」、これこそがアインランドの魅力の源泉だ

    ろう。

     

    本書は表面的にはハワード・ロークという建築家のサクセスストーリーである。ラブ

    ストーリー要素も散りばめられている。想像もつかないほど、ドラマチックな展開も

    用意されている。ジェットコースタームービーの先駆けかと思うほどだ。

     

    それでも本書のメインテーマは個人と社会の問題である。本当に才能がある唯一無二

    の個人が、それを押しつぶそうとする社会と正面から闘う物語である。

     

    否、ハワードロークは社会と闘おうとさえ思っていない。彼は自分として生きる生き

    方をしているだけなのである。そのために不遇な環境に置かれようとも生き方を変え

    ることはない。彼はハワードロークとして生きる。

     

    空気を読み、社会に順応することを暗に陽に求められる日本人の多くには、なかなか

    理解しがたい人物である。日本人ではハワードロークに共感する人は少ないのではな

    いか。私自身は日本人の中の少数派です。

     

    他の登場人物も魅力的な人物ばかりである。強いて分かりやすく表現するなら、アレ

    キサンダー大王とカエサルとクレオパトラとキリストが同時に登場して愛憎ドラマを

    繰り広げるようなものである。日本では、これほどキャラが強い人が受け入れられる

    ことはまずない。

     

    これに比べたら日本の小説や映画やドラマのテーマは、小さな共同体の中の物語でし

    かない。大上段から社会を論ずるような話は受け入れられない。日本人は社会を変え

    ることなど出来はしないと思っているのだ。長い歴史を持つ日本は老成化している国

    でもある。

     

    私は本書から40年代から60年代の米国人の強さを見た。当時の米国人は、こぞって、

    この長編小説を読み漁ったのだ。その多くが個人として超然と屹立するハワードロー

    クの生き方に賛美の声をあげ、生き方の理想像としたのだ。

     

    覇権国になる国の国民とは、このようなものかと感じた。その国の時代の精神が本書

    には描かれている。そして、それが米国に戻ることは、もはやないであろう。米国の

    国民の精神も壊れている。

     

    2020年現在、覇権国の時代の精神は中国に移りつつある。次は、中国の時代の精神を

    表している本を読まねばならない。
     

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